園長あいさつ
園長 佐保山 曉祥
1250余年前、聖武天皇は「動植咸栄(どうしょくことごとくさか)えること」を願い大仏さまを建立されました。また光明皇后は施薬院(せやくいん)、悲田院(ひでんいん)を開き、大いなる慈悲を実践されました。「生ける者の全てが、それぞれにかけがえ無く、果てし無い役割をもつ」とする華厳(けごん)の教え。そして「他人(ひと)の喜びを喜び、他人(ひと)の悲しみを悲しむ」慈悲の心。全ての生命を慈しむ東大寺建立の精神がここにあります。これを社会に活かす取り組みの一つとして当園は設立されました。
豊かな遊びを通し、周りの環境を感じ、子どもは育ちます。開園以来、遊びを重視した保育を一貫して行ってきました。一本の棒、石ころ一個で際限なく子どもは遊びます。追いかけあい、ふざけあって足腰がしっかりしてきます。幼児期の発達は遊びによるところが多いのです。私たちはそれを見守りつつ教育的立場から種々の保育を設定し、個々の意欲を促します。また「ののさま(仏さま)」に自然に手を合わせる雰囲気に包まれながら基本的生活習慣や他人との関わり方を学びます。そして豊かな自然に触れ、自分以外の命に出会い、感謝の心を身につけるように導きます。当園ならではの恵まれた環境を活かした保育に重きを置いています。
地蔵祭りや運動会、文化祭に発表会…保護者方に見守って頂く催しもあります。皆で一緒に行事を終える度にとても温かい気持ちが残ります。きっと東大寺建立の精神が命の繋がりとして、子どもと保護者と教職員との間に流れ続けているからでしょう。大仏さまのお膝元、大らかに伸びやかに子どもたちは駆け回っています。世界遺産の地にある幼稚園から育つこの子らが、全世界の人々とよろこびかなしみを分かち合え、生きとし生けるもの皆に思いを馳せるよう、豊かに育ってくれることを心から祈っております。